AutoCADについて

平成14年3月31日
設備システム研究会
WG2


◆AutoCADの概要

AutoCAD[オートキャド]は、autodesk[オートデスク]社が販売しているCADで、「業界標準」「世界標準」等と形容されるほど広く使われているCADである。 我が国でも、特に土木、建築分野を中心に広く使われている。 しかし、設備工事分野では、意外と人気がないようでもある。

さて、AutoCADは、いわゆる「汎用CAD」である。 汎用CADは、作図に関して、汎用的な(線や文字を描くような)機能だけを提供し、専用的な(例えば建築、機械、設備等の業務で必要とされる、ドアや歯車や継手を描くような)機能は提供しない。 ただし、AutoCADの場合、専用機能については、カスタマイズによって補うことができるようになっている。 これは、ユーザー自身がおこなうこともできるが、一般には、autodesk社および他のソフトウェアベンダーが別途提供しているアドオンソフトを利用する。 一例を下記に示す。
分野 ソフト名 ソフトウェアベンダー
建築 adpack[アドパック] 構造計画研究所
建築 ガウディ 兼松エレクトロニクス
建築 Architectual Desk Top(ADT)[アーキテクチュアルデスクトップ] autodesk
設備 稲妻 中電コンピュータサービス
設備 BrainGear[ブレインギア] アイ・ティ・フロンティア
ちなみに、AutoCADには、AutoCAD LT[オートキャドエルティ]という、安価な下位バージョンがある。 LTは、作図に関しては、AutoCADとほぼ同等だが、高度なカスタマイズができないので、こうした専用機能を期待することは原則としてできない。

◆データ交換

AutoCADが「業界標準」であるため、異なるCAD間でデータが交換される際には、AutoCADのデータ形式に変換されて交換されることが多い。
データ形式 内容
DXF テキスト型のデータ。中身を読むことができるが、データ量が大きい。圧縮ソフトを使うとデータ量を1/3程度に小さくできる。ほぼ全てのCADがこの形式を読み書きできる。DXFと次項のDWGとは、表現形式が異なるだけで内容は同じ。
DWG バイナリ型のデータ。AutoCADの標準のファイル形式。中身を読むことはできないが、データ量は小さい。圧縮ソフトを使ってもデータ量はあまり小さくならない。最近は、この形式を読み書きできるCADも増えてきた。
ただし、データの変換が完全とはいえないため、線の形状や文字の形や位置が変わる等のトラブルが多々起こる。
現在、AutoCADのバージョンは、最新が2004であり、以前のものは、2002、2000i、2000、R14、R13J、R12J、GX5、GX3、EX2・・と続く。 バージョンが変わると、通常、データ形式も変わる。 (2002、2000i、2000のデータは同一。) 上位のバージョンは、概ね二つ前までの下位のバージョンのデータしか読めない。 これはほとんどのソフトに共通していえることだが、データを長期にわたって保存したければユーザ自身が変換作業に努めなければならないということである。

最近、清水建設や大林組をはじめとして、ゼネコンがAutoCADまたは同LTの使用を協力業者にも推奨する動きが出ている。 これは、AutoCADまたは同LTの特徴的な機能である、外部参照やペーパー空間といった機能を利用して、CAD業務を効率化しようという考えによるものである。 確かに合理的ではあるが、反面、ゼネコン全体がAutoCADということでなければ、いわゆる「多端末現象(AゼネコンはA-CAD、BゼネコンはB-CAD、・・)」的な事態も懸念される。

◆AutoCADと一般の設備CADとの違い

まず、AutoCADは汎用CADであり、一般の設備CADは専用CADである、という違いがある。 しかし、設備CADのユーザーにとって、AutoCADは解かりにくい、使いにくい、という評価が多いのは、そうした機能的な面だけでなく、むしろ基本的な考え方の面で大きな違いがあるからではないかと思われる。
AutoCADの特徴的な機能としては、
モデル空間とペーパー空間による実物と図面の区別と関連付け
外部参照による他図面の参照
ByLayerやByBlockによる線種や線色の設定方法
一つの処理に対する複数の操作方法
自在なカスタマイズ性のための多種多様の設定値
等々が挙げられる。 これらの機能からは、自由度の高さを重要視するAutoCADの考え方が感じられる。
自由度の高さは、使い込めば何でもできるというメリットがある反面、使い始めにはわかりにくいというデメリットもある。(線や文字を描くだけでも、あれこれ設定が必要だったりする。)
しかし、これは考え方であって、良い悪いの問題ではない。 結局は「習うより慣れろ」で対応するしかないといったところであろう。